現在上映中の『シネマの天使』、初日2回目13時55分の回上映終了後に主演:藤原令子さん、監督・脚本・編集:時川英之さん、製作総指揮:益田祐美子さんの舞台挨拶を行いました。
東京での舞台挨拶後にお越しいただき、名古屋の後は大阪で舞台挨拶と、なんとも過密なスケジュールながら皆さん穏やかな笑顔でお越しくださいました。
舞台挨拶の様子を少しお伝えします。司会は映画パーソナリティの松岡ひとみさんです。
※映画の内容に一部触れているところもございます※
© 2015 シネマの天使製作委員会
◎はじめに
益田さん「皆様本日はようこそお越し頂きました。私は名古屋の大学に通っておりましたので、本当に“やっとかめだなも”ということで。本当に故郷に帰ってきたような感じを受けます。私の作品をここで4本上映させて頂いたので懐かしさでいっぱいです」
藤原さん「今日、初日だったので、こうやって皆様に観て頂けるのがすごく嬉しいです。ありがとうございます」
時川さん「『シネマの天使』の監督、脚本、編集をしております、時川英之と申します。今日は皆様、初日に来て頂きありがとうございます。名古屋は何度も来たことがあるし、友達もいるので、こういう形で来られたことをとても嬉しく思います。ありがとうございます」
松岡さん「藤原さんは名古屋は…?」
藤原さん「初めてなんですけど。あっという間に今日は過ぎちゃっているので。この舞台挨拶が終わったあとすぐ大阪に行かなければ行けないので…。また日を改めて遊びに来たいなと思っています」
◎『シネマの天使』制作のきっかけ
時川監督「以前僕は東京や海外にいたんですけど、最近は広島市に住んでいます。この映画は福山市に122年あった大黒座の物語なんですが、大黒座の方が“大黒座を壊しちゃうんで、せっかくだから広島出身の映画監督に撮って欲しい”というところからこの企画が始まりまして。はじめは撮影するだけだったんですけど、打合せをしていたら大黒座の方がいきなりわぁっと泣き出されて。皆さんすごい思い入れがあって。
それで、“そういう強い思いを皆さんお持ちだったら、大黒座を舞台にして映画館の話を、壊す前に撮ったらどうですか?”ということでこの映画が実現したんです。本当に時間がない中だったんですけど、益田さんが“すぐやるわよ”って言って下さって…」

益田さん「映画って資金がないと最終的にできないんですね。で、劇場がないと映画って観てもらえないんですね。
私、最初に日本とイランの合作映画を作って、かけてもらうところがなかなかなくて苦労した思いがありますので、劇場がなくなるって聞いてこれはなんとかしないといけないということで、資金集めを一週間で…」
松岡さん「一週間で?!」
益田さん「はい」
時川監督「普通、映画っていうのは脚本書くだけで半年とか一年とかかかるもので、その後にも資金集めとかで1年くらいっていう話なんですけど。この映画はものすごく違っていて。7月末くらいに“やりましょう”ってなって、益田さんに動いて頂いて、…9月の半ばに大黒座を壊す予定だったんですよ。それまでに撮らなくてはいけないから、僕は8月に脚本書きながらキャスティングして、多分、撮影の1週間か10日くらい前に藤原令子さんにお願いして。ドタバタだったんですよ(笑)それで9月の初めに撮り始めたんです」
益田さん「脚本をすぐ理解して演技できる能力の高い女優さんでないとできない。ね、監督」
時川監督「そうですね」
藤原さん「……わりと一生懸命でした(笑)ただただ一生懸命セリフと流れを頭に入れていたので…」
松岡さん「ビックリされませんでした?1週間前に決まって」
藤原さん「そうですね、初主演だったので。それも初めてだったし。広島に行くっていうことにもビックリして。広島の用意もしなくちゃいけない、台本も頭に入れなきゃいけない。主演作ってこんなにもバタバタするもんなんだって最初はそう思いました(笑)」
時川監督「普通はそんなことはないですけど(笑)」
松岡さん「みたいですね(笑)」
松岡さん「完成した映画をご覧になって藤原さんはどう思われました?バタバタって撮影したと思うんで」
藤原さん「自身に演技につては…。撮影したのは一年前で、観たのは一年後だったので、いろいろ反省点とかあったんですけど。
普通に物語として観て、エンドロールにあるんですけど、こんなにものたくさん映画館がなくなっていっちゃってるんだっていうことを初めて知って。それがもう、悲しいですよね。昔はそんなに愛されていたんだなぁと思って」
松岡さん「どんどんと閉館していってしまっている中、名演小劇場、頑張ってます!」
時川監督「頑張ってますね。…『シネマの天使』は全国のこういう素敵な、個性的な映画館
を応援する為のものでもあるので、ぜひ頑張っていって頂きたいと思います」
松岡さん「お好きなシーンはありますか?」
藤原さん「私はミッキー(ミッキー・カーチス)さんがチラシの部屋で、最後にチラシを貼るっ
ていうところがすごい好きで。私はそこを何となくイメージして、劇中わーってなってましたね」
松岡さん「あぁイメージをあそこで膨らませていったわけですね。…天使ですとか空想の部分はどのタイミングで考えられたんですか?」
時川監督「けっこう映画館を閉館する真面目な、人間のシリアスな話ってできると思うんですよ。それはちょっとやっぱり後ろ向きだし暗いかなって思っていて。できれば、映画館が閉館する物語であると同時にいろんな人の希望とか夢とかが同時進行するような、映画館のお客さんの気持ちが幻影として表れるような、そういう温かい物語に、未来に向かっているような物語にしたいなってことで。ああいう夢のパートがあったり…映画って夢みたいなものじゃないですか、人にとって。そういうところもあったりしますね」
◎映画館の思い出
松岡さん「劇中に“たった一本の映画が人生を変えていく”っていうミッキー・カーチスさんの言葉があるんですけど、皆さんは制作されるとか出演されるという立場なんですけど、映画から大きな影響を受けたとか、映画館での思い出があればお一人ずつ教えて頂けますか?」
藤原さん「私、岡山県の中でもすごい田舎の方の出身で、映画館に行くのに車で30分~40分かかっちゃうようなところだったので、映画館の思い出っていうのがそんなになかったんですけど。
今回この作品に関わらせてもらって、たくさん映画館がなくなっているっていうのもそうだし、やっぱり映画館で映画を観るっていうのが特別なことなんだろうなっていうことを感じましたね。それが多分私の中で一番、映画館の思い出になりましたね」
松岡さん「ありがとうございます。益田さん はどうです?高山市出身ということですと、旭座というところがありましたけど」
益田さん「旭座も昨年閉館してしまってとても寂しいです。私は40歳の時に日本とイランの合作映画を1本作りまして。ひとつの映画制作が人生を変えました。家族に迷惑をかけ続けております(笑)
しかし、映画を観てくれた人がこうやって集まって、同窓会のような形で、今日、金城のお友達も来てますけれども。映画を観るたびに、話して心を通じ合うことができるという場が嬉しいです」
時川監督「僕は広島出身なんですけど。おばさんが呉の映画館で働いてまして。クレジットに呉シネマって出るんですど、そこは僕のおばさんが30年くらいモギリをやっていた場所で。幼稚園か小学校くらいの子供の頃から行っていたので。おばさんが映画館で働いているのを見て子供ながらに、面白そうだな、ここって思ってましたね。楽しそうだなって。そういう思い出があります」
松岡さん「ニューシネマパラダイス的な感じですね」
◎最後に…
益田さん「今日、映画界の重鎮の佐藤忠男先生からとっても素敵な映評をいただきました。それに力を得まして。時川監督は新人と言っても過言ではないんですけど、これから大きな力を秘めた大きく伸びる監督ですので。そして、藤原令子さんはこの映画を機に大女優になる片鱗を見せてますので、皆さんこのお二人を応援して、映画はクチコミでどんどん広げていただきたいです」
松岡さん「益田さんらしいお言葉ありがとうございます。素敵ですよね、本当に。では藤原さんからもお願いします」
藤原さん「本当に心が温かくなる映画だと思いますし。皆さんの映画館との思い出と照らし合わせて頂いて、今一度、映画館で映画を観るっていうことについて考えて頂けたらと思います。本日は本当にありがとうございました」
松岡さん「ありがとうございました。そして素敵な映画を撮って頂きました監督、最後にお願いします」
時川さん「僕自身、この映画を作ってみて本当に思ったんですけど、映画館で映画を観ることって本当にいいなってやっぱり改めて思って。映画を作って以来けっこう僕、映画館で映画を観る回数が増えたんですけど、僕らの世代もそうだし、上の世代もですが、最近忙しいから映画観られないとか。若い人はいろんなメディアで観られるから、映画館で観ないとかって言われていたりして。
けれどそれはもしかしたら、映画館で観る映画が100%だとしたら、DVDとかネットで観たりすると60%とか70%しか味わえていないかもしれないんですね。その差はすごい大きいと思うので、ぜひ映画館で映画を観る楽しさをこの映画を通じて再発見してもらえればなと思います。
これからも良い映画を作れるように努力していきたいと思いますので、また新しい作品で名古屋に戻って来れるように頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました」
藤原令子さん、時川英之監督、益田祐美子さん、松岡ひとみさん、そしてご来場くださいました皆さま、ありがとうございました!!***************************************************こちらの舞台挨拶の様子を※C2[シーツー]WEB版でご覧頂けます。
★こちらです→『シネマの天使』@名演小劇場 初日舞台挨拶レポート
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またこの度、阿藤快さんの訃報が報じられました。劇中では映画に対する愛がにじみ出ている映写技師役をされています。心よりご冥福をお祈りします。
上映は11月27日(金)までです!映画館での思い出がじわじわと甦ってくるあたたかな作品です。ぜひぜひ劇場でご覧ください。
コドモエナジー株式会社
文責:エヴァラーユ