『いのちのかたち─画家・絵本作家 いせひでこ─』舞台挨拶レポート
『いのちのかたち─画家・絵本作家 いせひでこ─』11月20日(日)公開2日目に演出をされた伊勢真一監督による舞台挨拶を行いました。2回上映し、各回上映終了後に穏やかな語り口で、お話ししてくださいました。
◎じっと目をつぶる
目をつぶったら何にも見えないじゃないかってドキュメンタリーの作り手として失格だって言われるかもしれないけども、目をつぶって何が見えてくるのかっていうのをずっとやってきたかなっていう気がずっと自分もしていて。とても共感して使ったんです。
『風のかたち─小児がんと仲間たちの10年─』っていう小児がんの子供たちの映画をつくった時に、聖路加国際病院の小児科の病棟にひでこさんの絵があり、その絵をとっても僕は気に入って。映画ができた時に、ひでこさんの絵をチラシやポスターで使わせていただくっていうようなことがありました。それから僕の作品をひでこさんが観に来るし、僕も個展とかのぞかせてもらうようになりました。
舞台は今日観ていただいたところと同じ宮城の亘理町の吉田浜というところと福島の飯舘。
けれど…どんなこともそうなんですが…それは社会的な事件であると同時に、ある意味で文化的なって言ったらおかしいかもしれないけども、絵が好きな人はひとつの絵というところからいろんなことを考えるし、絵本が好きな人は絵本っていうところから考えるしっていうことがひでこさんを通じて、むしろ逆に、テレビのニュースとかそういうことの中でしか震災のことを受け止めていない人に、そういうことではなくて、もっと身近なかたちで受け止めてもらえるようになればいいかなって思っています。
無くなると、映画の中で観ていただいた風景はそのまま残るんだけど、地名は無くなっていく。
だから、この映画が直接的にそういうことをメッセージしているわけではないけれど。
ひでこさんは非常に子供たちに対する思いが強い絵本作家なんでそういうことを通じて、子供たちがたくさん出てくる映画ではないんだけれども、観終わった後に、しっかり自分たちが子供たちに何を残していくんだっていうようなこと含めて。
それこそ“絵本のようなドキュメンタリー”ってキャッチフレーズで書いたんだけれども、ドキュメンタリーっていうのを絵本のように読み解いていくともっともっといろんな、やわらかなというか豊かな読み解き方ができるんじゃないかなって思ってます。
ドキュメンタリーが苦手だっていう方もいらっしゃると思うんだけれども、そういう人にこそ観てもらいたい、そんな風に思っています。
12月2日(金)にて上映終了です!足をお運びください。