米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー

『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』舞台挨拶レポートのご紹介

『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』がいよいよ今週で終了します。


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                                                                           © TBSテレビ


本作は本上映前に、佐古忠彦監督小堀勝啓さん(フリーアナウンサー)にお越し頂き特別先行試写会を行い、初日と2日目には佐古監督内村千尋さん(不屈館館長/瀬長亀次郎さんの次女)による舞台挨拶を行いました。
たくさんの方にご来場いただき、おかげ様で6週間に及ぶロングラン上映となりました。

今回は、2日間行った舞台挨拶の様子から抜粋してお伝えします。夜の時間帯の舞台挨拶でしたが両日とも多くの方にお越しいただきました。



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◎瀬長亀次郎さんを取り上げたキッカケ



佐古監督:…沖縄で取材をし続けて20年以上になるんですね。ですから、いつの間にかこの瀬長亀次郎という人の存在を知り、そして沖縄の皆さんに鮮烈な記憶を残している人だなぁという印象がずっとありました。
この3月まで私はテレビに出てニュースを伝えたり解説したりする立場だったんですが、沖縄の問題を伝える度に、どうしても日々の瞬間的な事象を捉えるだけのニュースになっていたものですから、どうしても全体像を伝えきれていないなという思いがあるのと同時に、辺野古の問題が出てくる度に、また沖縄の人が反対しているというような一面的な部分だけを見た批判というのが本土から上がってくる。
これはどうしたものかなと思った時に、本土の人々の認識の中から戦後史というのものがスッポリ抜け落ちているのではないかなという気が強くいたしました。
そこの事実を知れば、もっとこの問題が包んでいる、ある種の理由であるとか背景であるとか、また核心部分に近づけるのではないかなという思いがずっとあったんです。
それがやはり、本土から抜け落ちているってことは本土にちゃんと伝えられていないってことですよね。
であるならば、その戦後史の主人公の一人であるこの亀次郎さんを通して戦後史を伝えてみたいと思ったんです。
その想いから、はじめて私は不屈館にお邪魔して、資料の山を見てこれを形にしたいと思って、一度去年8月にテレビのドキュメンタリーでまとめたんです。


普段はドキュメンタリー番組って深夜のひっそりとした時間に、ほぼ皆さんが寝静まった時間に放送しているものですから、なかなか視聴者の皆さんから積極的な感想が届いたり反応があったりってほとんどないんですね。
ところが、亀次郎さんを放映したら驚くほどの数の感想が寄せられまして、これは皆に伝わったんだなと思いまして。例えば“こんな人物がいたのか”、“今も沖縄の人々が声を上げ続けている理由が分かった”とかそんな感想でした。
それで、もっと広い範囲で多くの方にお伝えする、ご覧いただく方法は無いものかと考えた時に、これは…初めての挑戦なんですけど、映画っていうこともあるよなという話になりまして。
そこで動き始めて、そして今日やっと、こうやって皆さんにご覧いただけるまで漕ぎつけたというところです。



◎監督の取材の姿勢



内村さん:本当に佐古さんてひっそりと静かに一人で不屈館に来て見ていたんですね。最初私は佐古さんだと気づかなくて。後で、資料を買いにレジに来た時に、“あのもしかして佐古さんですか?”ということで挨拶から始まりました。
それから1年間不屈館に通われて。その頃は月曜から土曜の午前中まで生放送を抱えていたキャスターだったんですね。
ですから土日のわずかな時間を利用して毎週のように沖縄に来ていたんです。昼間はインタビューをとりに行ったり、風景を撮りに行ったりして、不屈館が終わって5時からは不屈館の資料を撮影して8時、9時までということもありました。大変だったんですけど。
私もこんな資料が欲しいとかこんな写真が欲しい、この日の日記が欲しいとか言われたら、探してなるべく短時間で撮影が終わるようにと協力をしていました。
ですから一緒に作り上げたような気がして、自分の作品のようだとも思っています(笑)




◎父親としての亀次郎さん




内村さん:そういう質問、不屈館でもよく聞かれるんですね。政治家・亀次郎を展示しているものですから。“お父さんってどういう人でしたか”って質問が多いんです。
この映画のパンフレットを作る時も“千尋さんにしか分からないような話を書いて下さい”って言われて、それで明治生まれの人にしては珍しいくらい「男女平等を実践していた父」ということを書きました。
掃除・洗濯をずっと父がやっていたんですよ。大きな金ダライに家族中の(洗濯物を)入れて手で洗う洗濯ですよ。
それで、那覇市長になって、追放された時は被選挙権も奪われて11年間選挙に出ることができませんでした。その間に皆が“じゃあ、奥さん出そう”って言って。うちの母ですね。
フミさんを出そう”って言って、立候補したら最高点をとって4期、那覇の市会議員として頑張りました。

その間に亀次郎も被選挙権を取り戻して70年に国会議員になるんですね。そして国会議員の宿舎に行ったもんですから、洗濯係がいなくなったんですね。それで母が困って洗濯機を買ったんです(笑)ですから私のうちに洗濯機が来たのは1970年です。
…というような話を亀次郎はなんでも日記に書くもんですから、なぜ洗濯をしているのかまで日記に書いてあるんですよね。「フミは忙しいから助かっているようだ。でも感謝しなくてよろしい」って書いてあるんですよ。


また、お母さんに対する想いがすごくあって、女性を大事にするという気持ちがあるんだなぁと思いました。
農業をしていた母親の背中におんぶされて、お母さんの苦労した姿をずっと見て育っているので。
そのお母さんが沖縄戦の時にヤンバルの北部の…名護の近くですけど、その辺りに疎開をしたんです。そしたらその疎開先に10万人が押し掛けたもんですから、食料がないんですね。それで餓死をするんですよ。
(お母さんの)写真は1枚も残っていません。ですからそのお母さんが亡くなったことはすごいショックだったと思うんです。
ですから、こういうお母さんのような犠牲者が出ないようにということで、いろんな女性の政策を労働基準法に…女性の産前産後休暇1ヵ月とか、同一労働・同一賃金とかね、男女平等とか、そういう文言を当時、本土にもなかったぐらいの進んだものを入れて成立させたんですね。そういう話とかも書いてあります。
ぜひよかったらお買い求めください。
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◎最後に



内村さん:今、沖縄は本当に大変な状況が起きています。高江という集落にヘリパッドが作られました。那覇から3時間もかかるような僻地です。
そういうところに、人口約140名しかいない集落に機動隊が500名も押しかけて来たんですね。そして民間の警備会社も来たりということで、本当に戒厳令かと思うような状況が165日間続いてヘリパッドが作られてしまいました。そして、オスプレイがすでに飛んでいるんです。
そうしたら、その下にいる子供たちが夜、寝られなくて学校に行けないという状況が生まれて、何世帯かはもうすでに引っ越しをしています。
もう住めない状況になっているんですね。こういうことを前もって分かっていたので、住民たちは体を張って抵抗していたわけです。
ですけど、ここまでやるかって。権力ってこんなこともできるんだというぐらいのものすごい暴力的なやり方で、強行してしまいました。


今度は辺野古にうつってきてます。辺野古も今、強行的にやっていることに対して、毎日100名~200名の人が座り込みを続けて、これも十何年も続けているんですが、いくら民意を表しても表しても、こういう…よその県だったら考えられないような、こんなに民意を表しても強行してくるっていうことはどうしてかって本当に不思議に思います。
この事実が、今インターネットとかではヘイトスピーチで、“沖縄の人は金をもらってここに座っている”とかですね、様々なことを言われて本当に沖縄は傷ついています。
ですから、この映画を観た方はもう分かると思うんですが、沖縄戦で苦しめられ米軍統治下で人権無視をされ、まだ未だに基地で苦しんでいるっていう状況があるからこそ、今も声を上げ続けているってことがこの映画を観た方なら分かると思います。
ですから、そういうことを全国に広げて皆さんが一緒に頑張って沖縄の基地も止めるっていうようなことができたらいいなと思って、そういうことを話したくてわざわざ沖縄から出てきました。
一緒に頑張って行きましょう。よろしくお願いします。



佐古監督:この映画の中には、様々なテーマが含まれていると思っています。ひとつひとつのエピソードは昔話のように見えて実は昔話ではなくて、非常に今日性があると言いますか。今が見えてくるなと思っています。例えば、最後の方に収録している佐藤総理との国会論戦。
そこには今の政治家との違いというのが見えてくるなという風に思っているんです。野党議員としてその権力に向かった追及の仕方というのもひとつですし、それに対して立場の違いを認めたうえでタジタジになりながらも誠意を持って応えようとしている総理大臣の姿を私はそういう風に感じました。いろんな感じ方があると思いますが、私はそう感じていて。今の国会論戦と比べたらどうだろうかと。


そこにもですね、今を考えるひとつの材料になるんじゃないかなという気がしてなりません。そういう風にですね、その他にもなぜ今があるのかということ考えた時に、やはり歴史があるからですよね。

ひとつひとつ点はありますけれども、それを一本の線で結ぶ作業をしてみると、あ、つながった。あの歴史があるから今にこう伝わっているんだな。…そう思いますと、歴史があるからこそ今があるんだなという想いを強くしている次第です。
特に戦後の成り立ちを考えた時に、沖縄の成り立ちとは全く逆で、本土の方は平和憲法が手に入って経済の方もどんどん復興していきましたが、沖縄はその真逆の姿がずっとあり続けたわけですよね。そこにずっと目を向けてこなかった事実があろうかと思います。
しかし、もう70年以上経ってこの国の成り立ちをもう一回考えた時にひょっとしたら、それはこれからの…ちょっと大げさなようですけれども、私たちのこの国の有り様のようなものもですね、考えるいいキッカケになるのではないかなぁという気がしてなりません。


亀次郎さんは、“瀬長さん”とか“亀次郎さん”ていう風な呼び方よりも、“カメジロー”という風に皆が呼び捨てにしたそうです。小さな子供でも“カメジロー”って呼び捨てにして(後を)追っかけていったそうです。
それぐらい一人の政治家と市民の間に、すごく距離感の近さがあって。そこにはそのまま信頼関係の厚さがあるからこそ、そうなんだろうなと。
じゃあこれもそうですけど、今に翻ってみた時にそんな関係がどこに見えるかなと思ってしまうのも、ひとつの亀次郎さんの姿ではないかなと思ってしまいます。



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佐古監督内村さん、そしてお越しくださいました皆様、ありがとうございました!!














文責:エヴァラーユ








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